こんにちは、フリーライターのうりちきです。
早速ですが今回は「山王バースセンターで無痛分娩を行った場合、総額いくらかかるの?」というところをまとめていきます。
分娩・麻酔の費用は勿論、夜間や休日の加算費用、妊婦健診や各種検査代、入院費用も全て算出したので、山王バースセンターでのお産を考えている方は是非参考にしてみてください。
なお本記事は2021年時点(コロナ禍)での費用であることをご承知おきください。
山王バースセンターとは
山王バースセンターは、東京港区の総合病院である「山王病院」の新館に、2015年3月にオープンした産科クリニックです。
「お産の山王」として有名な山王病院のノウハウを受け継ぎつつ、産科専門として各種検査やNICUなどお産のための設備が充実したクリニックとなります。
私が出産した2021年時点では、「山王病院は時間外(夜間や休日)に無痛分娩ができない」のに対し「山王バースセンターでは24時間365日無痛分娩に対応」というのも決め手でした。
(2023年現在では、山王病院でも夜間・休日の麻酔が可能になったそうです)
また山王バースセンターで産まれた子供は、そのまま山王病院をかかりつけ医にできるというメリットもあります。
実際私の子供も予防接種や定期検診だけでなく、「食物アレルギーが出た!」「転んで歯が折れかけた!」といった際に大変お世話になりました。
山王病院は総合病院なので、症状によっては小児科だけでなく皮膚科や歯科なども案内いただけるのが大きな強みです。
◆無痛分娩の種類や病院の選び方については過去記事も参考にしてみてください
◆またよく比較される「聖路加国際病院」との違いはこちらでまとめています
山王バースセンターでの無痛分娩にかかった費用
さて前置きはこのくらいにして、私が山王バースセンターで無痛分娩を行うためにかかった費用についてまとめていきます。
一般に出産費用は状況により大きく増減する(詳細は後述)のですが、山王バースセンターでは基本的に130〜150万円程度かかると思ってください。
私の場合ですが結論として、分娩のための費用が約130万円、検診費や検査代を含めると総額169万円かかりました。
下記に細かい内訳をまとめてみましょう。(端数は適宜四捨五入します)
分娩にかかった費用:合計130万円
出産費用(無痛分娩):77万3,500円
まず山王バースセンターで[無痛分娩で出産する]ための費用が約77万円です。
内訳は「分娩費49万3,500円+麻酔費28万円」となっており、これは人によって変動しない金額となります。
山王バースセンターでは「分娩予約金」として、妊娠15wまでに20万円を事前に入金する必要があります。
これは出産費用の一部に充当されますが、支払い期限が15wと早いので注意です。
その他の出産費用:5万7,000円
基本の「分娩費」に含まれない出産のための処置代が、上記の出産費用とは別に5万7,000円かかりました。
私の場合は会陰切開・吸引分娩を行なったので、その費用などが含まれていると考えられます。
明細には「保険内の処置費用(2万円)」と「保険外の処置費用(3万7,000円)」という表記がされていました。(さらに細かい内訳は記載が見つかりませんでした)
出産の状況によって処置が異なるため、人によって多少の増減がある箇所でしょう。
入院費用:38万8,500円
入院費用には「入院費」「室料差額」「食事代」が含まれます。
それぞれ入院日数により変動する費用ですが、私の場合は[分娩前日・分娩日・分娩後1〜4日目]の計6日間の入院でした。
先に陣痛が来ての予定外入院ではありましたが、結果として計画無痛分娩の場合と日数・食事の回数は同じとなっています。
※陣痛から入院、分娩の経緯については、過去記事の出産レポート「②陣痛〜入院」「③麻酔と促進剤開始」「④分娩」をご覧ください。
まず入院費は29,000円/日なので、6日の入院で17万4,000円となります。
また山王バースセンターでは2種類のお部屋(いずれも個室)から選べますが、広い方のお部屋(タイプⅠ)は4万1,000円、狭い方のお部屋(タイプⅡ)は3万1,000円の室料差額が発生します。
室料差額はいずれも1日あたりなので、タイプⅡを使用した私は6日間で合計18万6,000円となりました。(参考:山王バースセンター公式HP)
食事代は「朝食:1,500円」「昼食:2,500円」「夕食:3,000円」が食べた分だけ発生します。(ちなみに15時に簡単なおやつも出ますがこちらは無料です)
私の場合は陣痛が来ての予定外入院でしたが、分娩前日に入院(夕食のみ)→分娩日(夕食のみ)→分娩1・2・3日目(各朝昼夕3食)→分娩4日目(退院日:朝食のみ)で、合計12食の2万8,500円となりました。
説明されていたスケジュールを見る限り、食事の回数は予定通りの計画無痛分娩の場合でも同じかと思います。
お産が帝王切開となった場合、入院の日数が2日程度延長されます(日数は経過による)
そのため入院に伴う全ての費用が最低2日分多くなるので注意。
参考までに、入院費+室料差額(タイプⅡ利用)+食事代(3食分)で1日あたり6万7,000円です。
また、HappyBirthなど山王バースセンター公式の資料には、入院日数が基本7日とあります。
これは確かコロナの関係で1日短縮されていたのだと思います(あまり記憶が定かでないですが…そのような説明を受けたような気がします)
そのため状況によっては、正常分娩で7日、帝王切開で9日の入院となる可能性があります。
新生児管理保育料:7万5,000円
こちらは、産まれた新生児に対して発生する費用です。
内訳は「保育料:6万円」と「検査費用や薬代等:約1万5,000円」となっています。
山王バースセンターでは基本的に夜間は新生児を預かってもらえるので、その保育料等が含まれると考えられます。
また出生直後の診察や、黄疸や聴力の検査、K2シロップの処方等にかかる費用となります。
雑費:8,300円
おまけのようなものですが雑費です。
私の場合は「出生証明書代:7,700円」と、入院中に足りなくなって追加で頂いた悪露パッド代の600円が発生しています。
分娩加算料金について
上述の通り、私は結果的に分娩費用が約130万円となりましたが、これは山王バースセンターで無痛分娩を行った場合の最低金額に近い金額となります。
というのも、陣痛のタイミング等によっては、夜間料金や休日料金など分娩費にかなりの加算料金が発生するためです。
更にこの加算料金ですが、分娩費だけでなく麻酔費にもかかってくるので、費用は多めに見積もっておく必要があります。
下記に発生しうる加算料金についてまとめました。
分娩費加算:15万〜20万円
- 時間外(17:30-22:00,6:00-8:30) 15万円
- 深夜(22:00-6:00) 20万円
- 休日(土日祝) 20万円
麻酔処置代加算:5万〜8万円
- 時間外(17:30-22:00,6:00-8:30) 5万円
- 深夜(22:00-6:00) 8万円
- 休日(土日祝) 8万円
双子加算:13万円
双子の出産の場合、13万円の加算料金と料金表に記載があります。
私は単胎児出産のため詳しくは聞かなかったのですが、三つ子以上の場合どうなるのか該当する方は予め聞いておきましょう。(分かった時点で説明があるとは思いますが…)
LDR使用料:2万5,000円/日
山王バースセンターではLDR室を利用することが出来ますが、1日あたり25,000円の使用料が別途発生します。
予定通りに計画無痛分娩となった方は、分娩予定日に1日利用することになっています(私は今回予定外入院だったので利用できず、費用も発生しませんでした)
LDR室について詳しくは過去記事(計画入院〜分娩の流れ)をご覧ください。
加算料金について追加説明(加算条件が被った時や日跨ぎによる追加入院費用)
上記の加算料金ですが、入院時間ではなくそれぞれの処置時間に則って発生します。
また休日かつ深夜など加算条件が被った場合、高い方のみが適用され両方加算されることはありません。
例1)金曜日18時に入院して麻酔開始 → 翌土曜日7時に分娩
麻酔加算(時間外)5万円 + 分娩加算(休日)20万円 = 25万円の加算
例2)日曜日18時に入院して麻酔開始 → 翌月曜日9時に分娩
麻酔加算(休日)8万円のみの加算
上記の2例の場合、日付を跨いでいるので入院日分の入院費用が発生しますが、元々の予定でも分娩日前日の入院となっているので合計入院費用は変わりません(食事分は増減するかもですが)
ただし、仮に分娩に丸1日以上かかり日付を2回跨いだ場合、入院費用は2日分発生するので1日分加算されることになりますね。(入院費+室料差額(タイプⅡ利用)で1日あたり6万円 + 食事代)
例3)土曜日22時に入院して麻酔開始 → 翌々月曜日4時に分娩
麻酔加算(休日)8万円 + 分娩加算(深夜)20万円 + 入院費(追加1日・食事なし)6万円 = 34万円の加算
私の場合は陣痛促進剤と麻酔を開始してから分娩まで28時間以上かかったので、2日跨ぎというのもありえない話ではないと思います。
正直お財布に痛い話ではありますが、陣痛のタイミングは図れるものではないので、予め最大加算額を念頭においておく必要がありそうです。
山王バースセンターでは入院当日(夜間など緊急の場合は翌日)に「入院保証金」として50万円を先に支払う必要があります。
退院時にはこの保証金(50万円)と分娩予約金(20万円)を引いた差額を支払うことになります。
クレジットカードなどで支払いを行う場合、1ヶ月あたりの支払い上限額に注意です。
一般的に上限は数十万円〜100万円程度であることが多いので、一時的にでも上限額を上げておくか、複数のカードで支払うなど用意をしておきましょう。
※ちなみに私は入院〜退院で月を跨いだので、20万円(15w頃)+50万円(入院時)+60万円(退院時)でことなきを得ました。
検診や検査にかかった費用:合計39万円
妊婦健診費用:8万3,200円
妊婦健診について、私の場合は合計14回で、補助額を引いた手出しは8万3,200円となりました。(各種検査費用は別)
妊婦健診は、最終月経日から計算された出産予定日に産まれた場合、合計14回受けることになります。
自治体から健診費用を一部負担される補助券(チケット)がもらえるのですが、こちらが多くの場合14回分となっているのはそのためですね。
しかし早産気味だと12〜13回の健診で終わることもありますし、逆に予定日を超過すると追加で15回目以降の健診を受けることになりますが、追加分は全額私費となるのが悲しいところです。
さて私の場合ですが、出産予定日を数日過ぎたものの、健診自体は14回ちょうどで終わりました。
自宅で妊娠検査薬の陽性後、かかりつけの婦人科で妊娠確定の診断と初回健診を受け、2回目〜14回目の健診を山王バースセンターで受診という流れです(妊娠確定後に山王バースセンターの初診予約を取り、かかりつけで紹介状を出してもらいました)
山王バースセンターの場合、7回目までの健診は補助券を使っても毎回2,000〜3,000円の手出しがあります。
更に妊娠30w以降となる8回目健診からは、毎回10,000円の手出しです。
臨月ともなると毎週健診なので、毎週10,000円を支払いながら「もし予定日超過したら全額私費でもっと高くなるのかぁ…」と考えていました。
各種検査費用:9万760円(?)
出産までには、子宮頸がん検診や糖尿病の検査など、様々な母体・胎児の検査を行います。
こちらは通常の妊婦健診費用とは別で費用が発生することになります。
私が山王バースセンターで受けた検査と費用を下記にまとめました。
- 子宮頸がん検診:27,680円
- 超音波検査(20w):9,700円
- 血液検査(27w):11,980円
- 糖負荷試験(27w):4,400円
- 超音波エコー(4D:希望者のみ):22,000円
- 胎児精査超音波(SBC)(30w):15,000円
+ - 34wで血液検査があったはず…
上記はほとんどが母体や胎児の健康状態を調べるために必須の検査です。
超音波エコー(4D)だけ希望者のみの検査で、こちらは胎児を3Dの動画で見られる(+データがもらえる)というものとなります。
費用は22,000円と少々高額ではありますが、私の場合はコロナのためパートナーが診察室に入れない=胎児のエコーも一切見られなかったのでお願いしました。
また、34w頃に2回目の血液検査があったのですが、領収書を紛失していて金額が分からず…、確か1回目と似たようなものか少し高かったかと思います。
出生前診断(NIPT):18万9,650円
こちらも検査の一種ですが、希望者のみかつ金額も金額なので、あえて上の各種検査とは別にしてあります。
出生前診断(NIPT)とは、胎児の染色体異常の有無を調べる検査です。
費用は約19万円、産前に支払う費用の中では一時金(20万円)に次いで高額なので注意です。
高齢出産の場合に染色体異常となる確率が高くなるということで、山王バースセンターでは35歳以上で検査を推奨、それ以外は希望があればとのことでした。
またNIPT以外の出生前検査を選択することもできましたが、検査による母体・胎児へのリスクや検査精度などを鑑みて、私は今回NIPTを選びました。
山王バースセンターで扱っている胎児染色体疾患スクリーニング検査
・NIPT(妊娠10wから検査可能、採血検査、検出率約99%) 約19万円
・超音波スクリーニング(妊娠11w後半頃、超音波検査、検出率約90%) 約4万円
・クアトロテスト(妊娠15w頃、採血検査、検出率81%) 約2万円
→上記の非確定的検査にて陽性の場合のみ確定的検査(絨毛検査等)へ(詳しくは山王バースセンター公式HPも参照)
PCR検査代:2万2,000円
こちらはコロナ禍のみの出費となります。
山王バースセンターで出産を行う場合、入院前のPCR検査は妊婦全員必須でした。
ただし検査代が発生するのは限られた場合で、「立ち会い出産希望の場合、パートナーの検査が必要」「出産予定日が延期となるなど、何らかの理由で妊婦が2回目の検査を受ける必要がある」このような場合に検査代は自費となります。(妊婦自身の1回目検査代のみ助成あり)
私の場合、立ち会い出産かつ予定日延期したので、自身・パートナー共に2回のPCR検査を行いました。
※詳しくは過去記事(出産レポート①入院予定日の調整)をご覧ください。
明細のPCR検査代(22,000円)はパートナー分で、妊婦の検査代は出産費用として徴収されます(…のはずなんですが、出産費用明細のどの部分がPCR代なのか不明)
通院交通費:4万6,000円
つわりが辛い時期と、臨月近くになってからは、電車移動が厳しかったので通院にはタクシーを使用しました。
区からの助成金(タクシーチケット)が1万円分もらえたので、それを差し引いて4万6,000円の交通費となりました。(電車代含まず)
また自家用車で通う予定の方は、病院の駐車場利用料金が300円/30分となっています。
1回の健診はだいたい40分前後ですが、混み合ったり急なお産が入ったりすると合計2時間程かかることもザラでした。
そのため1回あたり1,000円前後の駐車場代を想定しておくと良いかと思います。
行政や会社からの補助金
最後に、費用とは逆の出産に関する補助金や手当金について簡単に触れておきます。
出産育児一時金
まずはご存知「出産育児一時金」ですね。
出産育児一時金
健康保険や国民健康保険などの被保険者及びその被扶養者が出産した際に支給されるお金
出産育児一時金は、ほとんどの場合、支給額は胎児一人あたり42万円となります。(2023年4月からは50万円になるという話ですね)
42万円のうち1.2万円分は「産科医療補償制度」の掛金分なので、制度に加入していない医療機関での出産の場合、または週数22w未満での分娩の場合は、支給額が40.8万円となります
また「直接支払制度」を利用することで、医療機関へ健康保険組合から直接一時金が支払われるため、その場合は単純に費用が42万円(双子の場合84万円)差し引かれた金額となります。
上記制度は一時金支給のための手続きを簡略化できますし、窓口での支払額を出来るだけ少なくしたい場合に便利ですね。
一方で制度を利用しない方が有利なこととして、1つにはクレジットカード等の支払いによるポイントが還元されるということです。
例えば務めている会社や加入している保険によっては+αの手当金が貰える場合があり、どうせそのための手続きが必要というのであれば、直接支払い制度を利用しないというのも1つの手でしょう。
区からの補助金
またお住まいの地域によっては、自治体から追加の手当金がもらえる場合があります。
例えば山王バースセンターのある港区の場合、単胎児出産の場合は最大31万円の助成金が出ることになっています。(詳しくは港区HPをご覧ください)
お住まいの地域のHPは、出産前に必ず確認しておきましょう。
会社や任意保険からの補助金
上記で触れたように、勤めている会社や加入している保険によっては、一時金とは別に手当金が貰える場合があります。
私の場合はパートナーの勤める会社の健康保険から8万円の祝金がありました。
また加入している任意保険によっては、分娩や、その際の一部処置(会陰切開や吸引分娩)に対して保険金が出ることもあるようです。
加入している保険によっては、分娩や、その際の一部処置(会陰切開や吸引分娩)に対してお金が出る
こちらも合わせて事前によく調べておくことが重要です。
まとめ
今回は山王バースセンターで無痛分娩を行った場合の費用について総括的に解説しました。
- 私の場合、分娩の費用は130万円、検査代や交通費等含めると総額で169万円
- 麻酔や分娩のタイミングによっては最大30〜40万円程度の加算料金
- 分娩予約金として妊娠15週までに20万円入金する必要あり
- 入院手続きの時点で保証金50万円を入金する必要あり
- クレジットカードの支払い上限額に注意
- 出産一時金や各種補助金・手当金を事前にチェックしておくこと
私の場合は、出産育児一時金と会社の祝金で合計50万円分の給付があったので、結局分娩だけで80万円の手出しとなりました。
正直2人目には二の足を踏んでしまう金額ではありますが、それでも私は山王バースセンターで無痛分娩を行えて良かったと思っています。
理由はいくつもありますが、やっぱり一番は安心感ですね。
分娩や麻酔については勿論、産前の健診や検査、もし容体が急変した場合や帝王切開となった場合、そして産後の母体回復(私は一度大きな出血があり産後2週間で病院へ)など、何かと不安な初出産で非常に頼りになりました。
また生まれた子供の定期検診や予防接種をお隣の山王病院で受けられ、色々トラブル(怪我・アレルギー等)の際にはとてもお世話になっています。
山王バースセンターのお産は、実はお祝い膳もエステもなく意外と華やかさは少ないかもしれませんが、それでも私は妥当な金額だと感じました。
もし次があるとしたらやっぱり山王バースセンターにお願いしたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。