こんにちは、うりちきです。
先日、東京都が「無痛分娩に対する費用の助成」を検討しているというニュースが発表されました。これにより、これまで費用面の負担が大きく、選択をためらっていた方々にも無痛分娩がより身近な選択肢になるかもしれません。
無痛分娩とは、硬膜外麻酔などを使用して出産時の痛みを和らげる分娩方法です。
痛みや疲労が軽減されるため、産後の回復が早くなるといったメリットがあります。
一方で、麻酔使用に伴うリスクや、通常の分娩に比べて高額な費用がかかる点もあるため、慎重に検討している方も多いと思います。
私自身、2021年に無痛分娩を経験しました。
本記事では、その体験をもとに無痛分娩の基本情報や産院選びのポイント、実際にかかった費用などを詳しくご紹介します。
また、出産数日前から分娩に至るまでの「出産レポート」も併せて掲載しています。
この記事を通じて、無痛分娩について興味を持った方が理解を深め、安心して出産に臨むための参考になれば幸いです。
無痛分娩とは?
無痛分娩とは、出産時に硬膜外麻酔などを用いて痛みを軽減する分娩方法のことです。
「無痛」とはいえ、完全に痛みがなくなるわけではなく、「痛みを感じにくくする」ことを目的としています。そのため、正しくは「和痛分娩」とも呼ばれることもあります。
無痛分娩にはさまざまな種類がありますが、日本では硬膜外麻酔を使った方法が一般的です。
この麻酔は、腰部の硬膜外腔に細いチューブを挿入し、薬剤を注入して痛みを軽減します。
麻酔の効果は調節可能で、赤ちゃんが産まれる瞬間には力を入れて息む必要があるため、完全に感覚がなくなるわけではありません。
ちなみに、麻酔チューブを挿入する方法ですが、処置台の上で横向きに寝転がり、膝を抱えて丸くなった状態で、背骨付近に針を刺します。
正直なところ記憶が曖昧なのですが、日記には「思っていた程の痛みはなかった」と記録されています。麻酔処置時点で陣痛がきていたので、腹や腰の痛みと比べると全てが些事だったと記憶しています。
無痛分娩のメリット
無痛分娩の最大のメリットは、出産時の痛みを大幅に軽減できる点です。痛みを抑えることで、以下のような効果も期待できます:
- 精神的な余裕が生まれ、リラックスして出産に臨める
- 長時間の陣痛でも体力を温存でき、産後の回復が早い
- 出産後すぐに赤ちゃんとの時間をゆったり楽しめる
特に初めての出産で痛みへの不安が大きい方や、体力の消耗を心配される方にとって、麻酔の使用は大きな安心材料となります。
無痛分娩のリスクと注意点
一方で、無痛分娩にはリスクや注意点も存在します。
- 麻酔による副作用(頭痛や血圧低下など)が起こる可能性
- 麻酔が効きにくい、または効かない場合もある
- 麻酔科医が常駐している産院が限られており、選択肢が少ない
- 通常の分娩に比べて費用が高額になる
無痛分娩を選択する場合は、産院で十分な説明を受けた上で、リスクとメリットを理解し、自分に合った方法を選ぶことが重要だと考えます。
ちなみに私の場合、長時間の麻酔使用によって、産後2週間ほど「尿意が感じられない」状態が続きました。
海外と日本の無痛分娩普及率の違い
無痛分娩は、海外では広く普及している出産方法です。たとえば、アメリカやフランスでは半数以上の妊婦が無痛分娩を選択しています。
一方で、日本では10%未満とされており、文化的な背景や麻酔科医の不足が普及率の低さにつながっていると言われています。
近年では、無痛分娩に対する認知度が上がり、対応する産院も増えつつあります。
東京都が費用助成を行うことで、さらに多くの妊婦が無痛分娩を選択できる環境が整うことが期待されると考えます。
無痛分娩に対応している産院の選び方
無痛分娩を選ぶ際、産院選びは非常に重要です。
麻酔に対応する産院は限られており、施設やスタッフの体制が異なるため、自分の希望に合った産院を慎重に選びたいものです。
…とはいっても、妊娠検査薬で陽性が出てから、実際に出産する産院を決めるまではさほど時間の余裕もありません。近所の産院に選択肢がないこともあります。
そこで、ここでは私が思う「産院を選ぶ際に注目したいポイント」についてご紹介します。
1. 無痛分娩の実績が豊富かどうか
無痛分娩は麻酔を使う医療行為のため、産院の経験値が重要です。
無痛分娩の実績が豊富な産院では、麻酔科医や助産師が経験に基づいた対応をしてくれるため、安心感があります。
事前に「無痛分娩の実施件数」や「対応可能な時間帯」を確認しておくと良いでしょう。
2. 麻酔科医の常駐や体制が整っているか
無痛分娩は麻酔科医が行う施術が必要となりますが、日本では麻酔科医の数が限られているため、常駐している産院は実は多くありません。
麻酔科医が常駐していない場合、無痛分娩が可能な時間帯が限られていることがあります。
そのため、「せっかく無痛分娩可能な産院を選んだのに、夜中に陣痛が来たため麻酔が使えない」といった事態がしばしば起こり得ます。
夜間や緊急時の対応が可能かどうかは、必ず事前に確認しておきましょう。
3. 緊急時の対応力
無痛分娩に限らず、出産時には様々なトラブルの可能性があります。
過剰に怖がらせる意図はありませんが、事前に緊急時の対応力についてリサーチしておくことをお勧めします。
「大病院と連携している」「NICUが併設されている」「他科を含む総合病院である」といったことがチェックポイントです。
特に持病を持たれている方は、出来るだけ分娩時のリスクに迅速に対応できる病院を選ぶと良いでしょう。
4. 費用と助成の確認
無痛分娩は、麻酔を使用する分、通常の分娩に比べて費用が高くなります。
産院によって費用が異なるため、事前にしっかり確認しましょう。
また今後、東京都などの自治体が費用助成を行う場合、それが適用される産院かどうかも確認することをおすすめします。
5. 自分の希望に合った環境かどうか
最後に、産院の雰囲気や医師・助産師の対応も大切なポイントです。
実際に病院を訪れてみるのが分かりやすいですが、なかなかそういう訳にもいかないと思うので、事前にHPや口コミなどを調べてみましょう。
例えば「個室の有無」「パートナーの立ち会い可否」「バースプランへの対応」など、産院によって特色があることが分かるかと思います。
特に「産後の母子分離」についての考え方は重要で、産院によって「出来るだけ母子を分けずに、母乳育児を推薦する」「夜間は基本的に子供を預かってくれて、母体の回復を優先する」など、方針に明確な違いがあります。
これらに正解不正解はないので、出来るだけ自分の希望にあった環境が選べると良いですね。
私の体験から一言
私が無痛分娩を選んだ際は、「麻酔科医の常駐体制があるかどうか」を最優先に産院を選びました。
具体的には「山王バースセンター」を選択したのですが、事前説明の際に、無痛分娩の流れやリスクについても丁寧に説明してもらえたことで、安心して出産に臨むことができました。
また、入院中の夜間はほとんどナースセンターで赤ちゃんを預かってくれたので、産後の身体をかなり回復させることができて良かったです。
産院選びに迷っている方は、まずは説明会や見学会に参加し、直接質問してみることをおすすめします。
無痛分娩の流れ:計画から出産まで
無痛分娩を希望する、といっても、なかなか実際のイメージが掴みにくいと思います。
そこで、計画入院から分娩に至るまでの一般的な流れをご紹介します。具体的な手順は産院によって異なりますが、全体のイメージを掴んでいただければと思います。
1. 無痛分娩の予約と事前相談
まずは、無痛分娩を提供している産院に予約を入れます。
多くの場合は、妊娠検査薬の陽性後、近隣の産婦人科で診断を受けて、それから産院に予約という流れかと思います。
産院の予約が取れるのは病院によって異なりますが「心拍が確認できてから(妊娠5〜6週頃)」というところが多いです。
私が出産した山王バースセンターでは「妊娠5週目を目処」とあり、また同じく麻酔実績の多い聖路加国際病院では「妊娠8週以降」とあります。
(外部リンク)山王バースセンター
(外部リンク)聖路加国際病院
ただしこの分娩予約ですが、人気の産院では予約が埋まるのが非常に早いです!
そのため、特に無痛分娩を希望するのであれば、検査薬陽性が出た時点で最速で産婦人科にかかり、同時に産院の調査を始めることをおすすめします。
妊娠する可能性のある方は、できれば事前に下調べしておくと良いかもしれません。
2. 計画入院のスケジュール調整
計画入院とは、出産予定日よりも少し早めに産院に入院し、分娩を管理する方法です。
無痛分娩では、陣痛の進行状況をコントロールしやすくするため、計画的に陣痛を誘発することが多いです。具体的には、以下のような手順で進められます:
- 日程調整:健診で赤ちゃんや子宮口の様子をみながら、出産予定日を決める
- 入院当日:産院でのチェックイン、麻酔処置や入院など必要書類の確認
- 陣痛誘発:子宮口を開かせるための処置(誘発剤やバルーンカテーテルの使用)
- 麻酔開始:陣痛が一定の強さに達した段階で硬膜外麻酔を開始
3. 分娩中の麻酔管理
硬膜外麻酔の場合、麻酔が始まると、腰部に痛みを和らげる薬剤が定期的に投与されます。
陣痛促進剤も併用しながら、医師や助産師が麻酔の効き具合を確認しながら分娩を進めます。
なお、病院にもよりますが、「麻酔が効いている間は食事ができず、私が利用した山王バースセンターの場合は『糖分を含んだ液体』も摂取不可」でした。
そのため、麻酔を始めたら産み終わるまで口にできるのは水のみ、という認識を念のため持っておくと良いと思います。
ちなみに私の場合、分娩が長時間に渡ったため、途中で一度麻酔を切って食事を挟むことになりました。
詳しくは後ほど「無痛分娩の体験談」の項で紹介しますが、この無麻酔の間にも陣痛は続いており、完全に薬が切れた頃には悶絶する痛さでした。
産院によって方針が異なると思いますので、あらかじめ麻酔の使い方や飲食については、質問しておくと良いと思います。
4. 赤ちゃん誕生後の処置
赤ちゃんが無事に産まれた後は、麻酔が切れるまで休息をとります。
これも病院によると思いますが、私の場合は歩行可能になるのは麻酔を切ってから6時間後以降でした。
分娩に問題がなければ、出産直後から赤ちゃんとの対面が可能な場合が多く、痛みによる疲労も少ないので、私も心身に余裕を持って我が子と接することができました。
無痛分娩の費用と東京都の助成案
無痛分娩は、痛みを大きく抑えて分娩することができますが、一方で、通常の出産費用よりも高額になりがちです。
2021年の情報ではありますが、私が行った「山王バースセンター」での無痛分娩の場合、分娩費用の総額は約130万円~150万円ほどで、各種助成や手当を差し引いても80万円の手出しがありました。
下記に簡単な内訳と、無痛分娩の費用について少し紹介します。
無痛分娩にかかる費用の内訳
出産費用(無痛分娩)
山王バースセンター(2021年)の無痛分娩の基本料金は約77万円。ここには、麻酔科医による施術費や計画分娩にかかる費用が含まれています。
入院費用
入院のための費用は基本料金と別となります。入院中の個室利用料や食事代などが含まれ、38万円前後が目安です。
新生児管理保育料
母体とは別に、赤ちゃんの健康管理や必要なケアに7万円程度の費用がかかりました。
分娩加算料金
特に注意しなければならないのが、この「加算料金」です。
病院にもよりますが、分娩や麻酔の使用が夜間や休日となった場合には、それぞれ追加料金が発生することが多いです。
山王バースセンターの場合、分娩費用で約15万~20万円、麻酔費用で約5万~8万円の加算となる場合があります。
計画分娩といっても精密に分娩日時を決められる訳ではないので、あらかじめこの加算料金を加味した費用感をもっておくと良いと思います。
各種健診・検査費用
他に、出産までには何度も母体の健診や検査があり、この費用が40万程度かかりました。
妊娠中には定期的に健診を受けることになりますが、山王バースセンターの場合、補助券を使っても数千円〜1万円くらいの手出しがあります。
私は14回ちょうどで健診を終えましたが、それでも8万円以上の出費となりました。
さらに、血液検査や子宮頸がん検診などの必要な検査を行うのに、9万円と少し。
必須ではありませんが、私の場合は出生前診断(NIPT)を受けたので、この費用が19万円程度発生しました。
お住まいの地域にもよりますが、通院のための交通費も考慮する必要があります。
東京都の助成案について
このたび東京都では、無痛分娩に対する費用の助成案を検討中です。
具体的な助成内容はまだ発表されていませんが、実現すると無痛分娩の費用負担が軽減され、より多くの妊婦さんが麻酔使用を選択しやすくなることが期待されます。
助成を活用する際のポイント
無痛分娩の費用を抑えるために、東京都だけでなく、例えば以下のような各種助成を活用することが重要です。
- 出産一時金の活用:約50万円(2023年4月より引き上げ)の出産一時金が、基本費用の一部をカバーします。
- 医療費控除の申請:出産関連費用が10万円を超える場合、確定申告で控除が適用されます。
- 自治体の助成制度の確認:東京都以外でも、例えば区などの自治体から分娩助成金がある場合があります。お住まいの地域のHPは、出産前に必ず確認しましょう。
- 会社や任意保険からの補助金:加入している健康保険や、任意保険によっては、祝い金などの手当てがもらえる場合があります。分娩やその際の処置によって、保険金が出ることもあるので、事前によく調べておきましょう。
無痛分娩の体験談
無痛分娩について調べている方は、実際に体験した人のレポートも知りたいかと思います。
そこで私個人の体験とはなりますが、下記に「無痛分娩出産レポート」のリンクを載せておきます。検討している方の参考となる情報があれば幸いです。
私は「山王バースセンター」で計画無痛分娩を行いました。
詳しくはレポートを見て頂ければと思いますが、『予定日に優雅に病院にチェックインして、LDR室でDVDを観ながら陣痛の進みを待つ』といった余裕ある出産とはなりませんでした。
真夜中に自宅で陣痛が始まって急遽陣痛タクシーで向かい、麻酔を開始できる段階まで痛みに耐え、麻酔を始めてから生まれるまで実に28時間程かかりました。
分娩台で仮眠を取り、朝を迎えたのは、今となってはいい思い出です。
私の場合は完全に無痛とはなりませんでしたが、それでも分娩時の痛みが軽減され、会話する余裕がありました。
今のところ予定はありませんが、もし二人目を考える場合にも、無痛分娩一択だと思っています。
産後のマイナートラブルについて
無痛分娩後の回復は、通常の分娩と比べると比較的スムーズであることが多いですが、いくつか注意すべき点があります。
私自身の体験も交えながら、産後のマイナートラブルについて少し紹介します。
産後に感じやすい不調
会陰切開の傷の痛み
出産後、会陰部の傷が腫れて痛みを感じることが一般的です。
麻酔が切れた頃が一番痛く、その後は時間経過と共に改善していきます。
私の場合、翌日には痛み止めを飲めば普通に行動できるレベルに回復しました。傷の引き攣れ感が治るのには1ヶ月程度を要しました。
後陣痛
分娩後、子宮が元の大きさに戻る過程で下腹部に痛みを感じることがあります。
「後陣痛」と呼ばれるこの痛みは個人差が大きく、私の場合は生理痛程度で、退院頃にはさほど気にならなくなりました。
むくみ
妊娠中や分娩後に体がむくむことがあります。
これは体質に加えて、分娩にかかった時間も大きく影響します。
私の場合は分娩時間が長く、ほぼ丸二日間点滴をしていたこともあって、人生最大級のむくみが起こり、治るのには1ヶ月程度かかりました。
排尿障害
特に無痛分娩の場合、麻酔中は立ち上がることもできないので、尿道カテーテルを用いて排尿が行われます。
私の場合は分娩が長引いたことで、産後の排尿障害を起こしました。
具体的には尿意を感じず、排尿感も感じないので、違和感が強かったです。
時間を決めてトイレに行き、骨盤底筋を少しずつ鍛えることで、産後2週間程度である程度改善したと記憶しています。
ホルモンバランスの乱れ
産後、ホルモン変化によって火照りや冷え、気分の不安定さが現れることがあります。
私の場合は気分の乱高下に加えて、片頭痛を誘発し、頭痛は1ヶ月程度、メンタル面への影響は数ヶ月続きました。
特に不安感が強く、自分だけでは育児が不可能な状態だと判断し、パートナーには育休を産後8週間ぐらいまで延長してもらいました。
時間の経過で治癒していくものではありますが、そのためには『心身に無理をさせないこと』が不可欠だと感じています。
無痛分娩を考える上でのポイント
無痛分娩は、出産時の痛みを大きく軽減し、母体への負担を減らすための有力な選択肢です。
しかし、麻酔によるリスクや費用面の課題もあるので、すべての妊婦さんにとってベストな方法ではないかもしれません。
最後にもう一度、無痛分娩の選択におけるポイントをまとめておきます。
自分に合った出産方法を見つける
無痛分娩には、メリットと同時にリスクもあります。
自分の体調やライフスタイル、出産に対する不安の程度を踏まえ、医師や助産師、パートナーと十分に相談することが大切だと考えます。
特に「パートナーとの相談」は、無痛分娩に限らず、しっかりと行って欲しいと思います。
妊娠中や産後は、心身の大きな不調をきたしやすいため、最も近くにいるパートナーが十分な理解を示してくれることが本当に助けになります。
過去記事でも紹介しましたが、下記の本などが相互理解の補助となりました。改めておすすめしておくので、宜しければぜひ一度目を通してみてください。

最新の助成制度やサポート情報を確認
東京都が無痛分娩の助成を検討しているように、自治体ごとに異なるサポート制度が用意される可能性があります。
出産予定の地域や産院が助成対象に含まれているかどうか、最新情報を随時確認しましょう。
準備と情報収集をしっかり行う
無痛分娩を選択する場合は、事前に産院での流れや費用、麻酔に関するリスクについて詳しい説明を受けておくことが重要です。
自分自身の安心感を高めるためにも、情報収集をしっかりと行うことを推奨します。
まとめ
今回は、「無痛分娩」の概要や、メリットとリスク、病院の選び方など、総括的にご紹介しました。
本ブログでは他にも「入院における準備」や「持ち物リスト」なども紹介しているので、ぜひ合わせて参考にされてみてください。
無痛分娩は「選択肢の一つ」であり、全ての妊婦さんが安心して出産を迎えられる環境が重要であると考えます。
この度の東京都の助成案をきっかけに、無痛分娩への理解が広がることを期待します。
最後までお読みいただきありがとうございました。